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2023.08.30 ICT教育

【ICT教育とは?】ICT教育の意味やメリット・課題を解説

現代社会において情報通信技術(ICT)は、学校教育にも影響を与えています。ICTを教育現場に採用する取り組みが「ICT教育」です。

ICT教育では、パソコンやスマートフォンなどのICT機器で、インターネット、デジタルツールなどの情報通信技術を活用し授業を行います。生徒たちの学びを深める革新的な教育方法として、あらゆる教育現場で推奨されています。
授業や学習内容の明確化や情報共有の手軽さなど、ICT教育にはさまざまなメリットがありますが、デジタルリテラシーの低い教員や生徒の存在、導入コストの発生など、無視できない課題も存在します。

この記事では、ICT教育の意味やメリット、課題について解説します。教育現場に携わる方に、ICT教育の基礎知識を吸収してもらうことが記事の目的です。

ICT教育って何?

そもそもICT教育とは何なのでしょうか?ここではICT教育とは何かやその目的、背景、IT教育との違いについて解説していきます。

ICT教育とは教育現場でICT機器を導入する取り組みのこと

ICT教育は、ICT機器を教育現場に取り入れる取り組みです。文部科学省が「GIGAスクール構想」として、2019年度から本格的にICT教育を推進するように決定しました。

参考:文部科学省|GIGAスクール構想の実現について

ICT教育の目的・背景

ICT教育の主な目的は、生徒たちのデジタルリテラシー(情報活用能力)を養うことです。ICT機器を適切に用いて、情報の収集・整理・分析などを行っていきます。さらに、機器以外ではデジタル教科書やクラウド型サービスなどの授業支援ツールなどの活用もICT教育に含まれます。

現代ではインターネットの普及により、情報が急速に変化・発展しています。情報社会を生き抜くうえで、デジタルリテラシーを育むことは重要な要素でしょう。

そのため、生徒たちは収集した情報の真偽を見定めたり、問題点の発見や自身の考えを整理・分析したりするICT教育を受けることで、デジタルリテラシーのレベルを上げています。

ICT教育とIT教育の違い

ICT教育は情報通信技術を取り入れる教育アプローチを指し、コンピュータだけでなく、インターネットやデジタルデバイスも含みます。

一方で、IT教育は主にコンピュータサイエンスやプログラミングなど、情報技術に焦点を当てた教育です。

例えば、インターネットを使用しながら授業を行うことはICT教育、プログラミングスキルを得るために知識をつけることがIT教育です。

ICT教育のメリット

ICT教育には、メリットがいくつか存在します。

  • 授業の効率化
  • 学習内容の明確化
  • 生徒参加型の授業
  • 教員の事務作業効率化
  • 教員の事務作業効率化
  • 情報共有の手軽さ

ICT機器を教育現場に取り入れると、どのような恩恵を受けることができるのか、具体的に確認してみましょう。

授業の効率化

ICT教育では、授業で使用する紙の教材をデジタル化したり、情報を一元管理できたりするため、教材の提供や管理を効率的に行えるメリットがあります。

教員は、教材の配布・印刷する時間を短縮できるため、余剰分の時間を授業の質を向上させるために割くことができます。

学習内容の明確化

ICT機器を活用することで、生徒たちは学習内容を視覚的に理解しやすくなります。ICT機器によるインタラクティブなデジタルな教材やシミュレーションを通じて、一方的に情報を受け取るだけではなく、生徒自身も主体的に知識を取り入れることが可能です。

抽象的な概念も具体的に理解できるようになるため、学習内容が明確になるでしょう。

生徒参加型の授業

ICT教育は、生徒たちが受動的に情報を受け取るだけでなく、能動的に学習を進められる機会も提供します。

例えば、オンラインでのディスカッションやプロジェクトベースの学習など、生徒が主体的に授業を進めるスタイルも実現可能です。

生徒が主体となって意見交換の場を設けることで、自分で考える力を養うことはもちろん、誤解がないように意見を相手に伝えられるようになる、相手の立場を尊重して意見を傾聴できるようになるなど、コミュニケーション能力の向上にも期待ができます。

教員の事務作業効率化

ICT機器の活用は、教員の事務作業を軽減する効果もあります。生徒の成績管理や課題の回収、定期テストの管理などのプロセスがデジタル化されるため、時間に余裕ができ、授業に専念ができるでしょう。

文部科学省の調査によると、教員が1日で行う業務の大半が授業(主担当)と授業準備です。授業の準備をデジタル化できれば工数の削減につながり、授業の質向上に力を入れられます。

また、残業時間の軽減にも期待ができます。ICT機器を受け入れることで、膨大な仕事量から解放され、教員自身のプライベートな時間を確保しやすくなるでしょう。

情報共有の手軽さ

ICT機器を活用したプラットフォームやツールを使用することで、教員と生徒、生徒同士、教員同士の情報共有がスムーズに行えます。資料や情報の共有が簡単にできるため、コミュニケーションが活発化します。

ICT教育の課題・デメリット

ICT教育には課題も存在します。

  • デジタルリテラシーの低さ
  • 環境整備の格差
  • 導入費用の発生

解決できる課題なのか、解決するためにはどうすれば良いのか解説します。

デジタルリテラシーの低さ

ICT教育を取り入れる際に、デジタルリテラシーが低い学校、教員が存在します。生徒が適切に情報を取捨選択して分析を行うためには、教える立場である教員のデジタルリテラシーも高くなければなりません。

文部科学省では、デジタルリテラシーが不足している学校や教員を手助けするため、ICT活用教育アドバイザー派遣事業を行っております。派遣されたアドバイザーは、ICT機器を活用した授業の導入や指導力を向上させるため、助言を行います。

環境整備の格差

ICT機器や高速インターネットへのアクセスが不足している地域や学校もあります。このままでは教育格差が広がる可能性があります。

文部科学省ではICT機器の設備を整えるために、地方交付税措置を行う「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」を実施しています。当初は2018〜2022年までの計画でしたが、現在でも延長されており、環境による格差が出ないよう配慮しています。

導入費用の発生

ICT機器やソフトウェアの導入には一定の費用がかかります。学校や教育機関によっては、予算の制約や経費負担が課題となる可能性がありますが、地方交付税措置から導入費用をまかなうことが可能です。

ICT教育の現状と課題

ICT教育の課題として、導入費用や教員のデジタルリテラシーの問題が挙げられます。現状の課題をどのように解決すれば良いのか、文部科学省の見解を調査しました。

ICT教育の課題点

ICT教育の課題点は、まずICT機器の適切な導入や教育環境の整備には費用がかかることです。予算の制約や設備の管理や手入れなどの財政的な問題も課題の1つでしょう。

さらに、教員のデジタルリテラシーや専門知識の向上も必要です。ICT技術は急速に進化を遂げているため、教員が新しいツールや使用方法を理解し、効果的に授業に導入するための支援が求められます。

参考:文部科学省|ICTの活用の推進

ICT教育の現状に対する文部科学省の見解

文部科学省は、ICT教育の推進に積極的です。現代社会で必要なスキルを身につけるためには、ICTを活用した教育が不可欠だと考えています。

そのため、デジタルリテラシー向上のための教育カリキュラムの策定や、教員の研修プログラムの充実などを進めています。

ICT教育の普及促進に向けて、文部科学省は学校のICT環境整備への助成金の提供や、デジタル教材の開発・提供を行っています。

また、全国ICT教育首長協議会を通じて、ICT教育の最新動向や成功事例の共有が行われています。

参考:文部科学省|学校教育情報化の現状について

ICT教育の活用・実践例

ICT教育の小学校、中学校、高校、塾での活用・実践例を調査しました。

  • 瀬戸内市教育委員会|瀬戸内市立邑久小学校
  • 神奈川県鎌倉市教育委員会|鎌倉市立腰越中学校
  • NHK学園高等学校
  • 駿台梅田校

ICT教育が積極的に取り入れられている事例をご紹介します。

ICT教育の小学校での事例

瀬戸内市立邑久小学校では、クラスでのディスカッションやプロジェクトを通じて協力と創造性を育てる取り組みが行われています。

例えば、理科の授業で生徒たちの実験の様子を電子黒板にミラーリング機能で投影することで、クラス全体で実験内容を共有し合うことが可能になりました。

電子黒板を取り入れることで、クラス全体で共有し合い、積極的に生徒と教員がコミュニケーションを取れる授業が実現されています。

参考:瀬戸内市教育委員会による電子黒板とディスプレイモニターの導入

ICT教育の中学校での事例

鎌倉市立腰越中学校でも電子黒板や電子タブレットの活用が促進されています。

例えば、授業でグループ発表を行う際、事前準備として各生徒が調査し収集したデータを同じグループの生徒同士で共有し合えるため、気軽に情報の取捨選択が可能になりました。

ウェブリサーチ力やデジタルプレゼンテーションのトレーニングを通じて、情報の正確性を判断し、効果的に伝えるスキルも身についていきます。

参考:神奈川県鎌倉市教育委員会による電子黒板と電子タブレットの導入

ICT教育の高校での事例

NHK学園高等学校ではオンラインでの配信授業や遠隔演習を通じて、自律学習能力を高める取り組みも行われています。

自宅でも学べる体制を整えるため、ICT機器を取り入れてオンライン配信での授業が可能になりました。オンライン配信の存在により、生徒は自宅学習と対面学習、どちらを選択することもできます。

このように、ICT教育は何らかの理由で学校に通うことができなくても、学習の機会を失わないための一助となっています。

参考:NHK学園高等学校による電子黒板とオンライン配信機器の導入

ICT教育の塾での事例

駿台梅田校の塾でもICT教育が活用されています。電子黒板の導入によって、視覚的に学習内容の理解度を深めることが可能になりました。

電子黒板の内容は授業が終了してからでも共有できるため、生徒は必死になって板書を書き写さずに済み、教員の解説を集中して聞くことができるため、内容の理解が深まっていきます。

ICT機器を導入することで、生徒の学力向上にも期待ができるでしょう。

参考:駿台梅田校による電子黒板の導入

ICT教育に関するよくある質問

ICT教育に関して、基本的な知識は理解できたものの、まだまだ知りたいことはあるはずです。ICT教育に関して、多くの方が悩まれる質問に回答します。

ICT教育の普及率はどのくらいですか?

ICT教育の普及は、文部科学省の「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画」によって進んでいますが、学校や地域によって状況は異なります。

文部科学省のデータによれば、徐々にICT機器の導入は進んでおり、ウェブサイトやアプリを活用した学習も増えています。

参考:文部科学省|学校教育情報化の現状

文部科学省ではICT教育に対して目標を定めていますか?

文部科学省は、ICT教育の推進を図る方針を打ち出しています。方針には、教員のICT活用能力の向上を図るICT活用教育アドバイザーを学校へ派遣する施策や、デジタル教材の普及促進、学校のICT環境整備などが含まれています。

参考:文部科学省|ICTの活用の推進

ICT教育はいつから始まった?

2019年度より、文部科学省が主体となってICT機器の環境設備を整え、ICT教育の普及を行う「GIGAスクール構想」を掲げています。

GIGAスクール構想を実現するべく、2019年度補正予算案において、児童生徒向けの1人1台端末と、高速大容量の通信ネットワークを一体的に整備するための経費が盛り込まれ、現在でもICT教育の普及は進んでいます。

ICT教育による生徒や教師にとってのメリット/デメリットは何ですか?

ICT教育の教師にとってのメリットは、生徒の学習スタイルや進捗に合わせてカスタマイズされた学習プランを提供できるため、個別指導の強化が可能であることです。生徒は個別学習による学力の向上にも期待ができます。

デメリットの1つは、教員や生徒がICTの技術やツールに追いつくためには継続的に学習する必要があることです。ICT活用教育アドバイザーのサポートを受けることで、デメリットは解消できるでしょう。

ICT教育に電子黒板は有効ですか?

電子黒板は、教育現場でのICT活用の一例として非常に有効です。電子黒板を使用することで、教員はリアルタイムでコンテンツを共有し、インタラクティブな授業を生徒に提供できます。生徒は学習内容をより具体的にイメージしやすくなり、理解が深まります。

参考:電子黒板導入による成功事例

まとめ

ICT教育は、国をあげて取り組んでいるほど、教育の領域でも大きな変革をもたらしています。生徒はデジタルリテラシーを習得するだけでなく、学力や問題解決能力、コミュニケーションスキルも向上させることができます。

一方で、適切な導入と教員のサポートが必要であり、環境格差の拡大などの課題も存在します。未来の情報社会を子どもたちが生き抜くためには、ICT教育の活用と課題解決が重要です。

この記事の著者

ミライタッチ編集部

ミライタッチ編集部

ミライタッチは、1931年創業の“社会貢献事業”会社であるさつき株式会社が開発。皆の夢を叶えて、豊かな未来の創造のお手伝いをすることが、私たちの使命です。コラムでは、電子黒板に関する情報や、教育現場で働く方々に向けた情報発信を行なっています。