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2026.09.01 ICT教育

「子どもたちと向き合う時間を、もっと増やしてあげたい」
多くの園長・主任が、そう思いながら職員の残業記録に目を落としているのではないでしょうか。
連絡帳の記入、指導計画の作成、行事の準備、教材の手作り。保育士の業務は保育そのものだけではなく、その周辺業務が積み重なって残業や持ち帰り仕事につながっています。
そして、この問題は現場の努力では解決しません。業務の分量そのものを園の仕組みとして減らさない限り、残業は減らないからです。
本記事では、公的調査のデータをもとに保育士の負担の内訳を明らかにしたうえで、園として着手できる業務効率化の打ち手を、効果の大きい順に整理してご紹介します。
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この記事でわかること
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目次
まず、現場の実態を数字で確認します。三菱UFJリサーチ&コンサルティングの調査研究報告書(令和7年度委託調査研究事業、令和8年3月)によると、正規職員の1日あたりの平均勤務時間は次のとおりです。※1
・ 8時間を超えて10時間以下:61.4%
・ 10時間を超えて12時間以下:4.8%
・ 12時間超:0.4%
合計で66.6%、およそ3人に2人が8時間を超えて勤務している計算になります。
では、なぜ残業が生まれるのか。同報告書によると、勤務時間中にこどもと関わらずに事務作業ができる「ノンコンタクトタイム」が「0分」と回答した保育士は34.5%にのぼります。※1
書類作成や連絡業務は子どもの保育中には手を付けられないため、必然的に開所前・閉所後・持ち帰りに集中してしまう構造があります。
さらに、「シフトを調整すれば解決できる」とも言い切れません。同報告書によると、正規職員のうち早朝(~9時)に働いている割合は81.0%、18時以降も働いている割合は59.5%にのぼります。※1
早番・遅番対応が常態化している以上、勤務時間内に事務時間を確保することは構造的に難しいのです。
つまり、残業は個々の保育士の段取りの問題ではなく、「勤務時間内に収まらない量の業務が存在している」という構造の問題です。園として業務の総量を減らすことが必要なことがわかります。

では、どの業務から手を付けるべきか。同じ報告書には、その判断材料があります。
保育士が「負担を感じる」と回答した業務の上位は次のとおりです。※1
・ 1位:書類作成(指導計画等) 50.8%
・ 2位:書類作成(保育記録) 49.4%
・ 3位:保護者への連絡 37.9%
一方、1日の時間配分を見ると、保育対応(こどもへの指導・援助や環境構成など)にかかる時間の割合は70.1%、会議・書類作成・保護者連絡などの事務作業等は24.1%です。※1
時間としては全体の4分の1程度でしかない事務作業が、負担感では上位を独占しているという構図です。
なぜ事務作業の負担感がこれほど大きいのか。前述のとおり、書類作成や連絡業務は子どもがいる時間帯には手を付けられず、必然的に開所前・閉所後・持ち帰りに回るためです。こなしている時間は少なくても、残業や持ち帰り仕事の原因になっているという点で、書類業務は最優先で効率化すべき領域と言えます。
したがって業務効率化は、「取り組みやすい順」ではなく「負担感の大きい順」に進めるのが合理的です。以下、その順序で4つの打ち手を解説します。

負担感1位・2位を占める書類業務から着手します。
日誌・指導計画・保育要録をシステム上で入力・保存する形に切り替えると、次のような効果が期待できます。
近年は、記録内容をもとに所見欄の文章案を生成AIが提案するサービスも登場しており、作成時間の短縮と記録の質の向上を同時に狙えるようになってきました。
効果は数字にも表れています。同報告書では、後述する保育ICTの4機能すべてを導入している施設では業務負担が軽減されたとの回答が31.6%(未導入施設は17.8%)、45分以上の休憩を取得できている割合が38.8%(同31.1%)と、いずれも明確な差が出ています。※1

書類と並んで見落とされがちなのが、教材・掲示物の作成負担です。
行事のプログラム、リトミックの楽譜、朝の会で使う絵カード、季節の掲示物——保育現場では、いまも多くの教材が職員の手作りで賄われています。しかもこれらは毎年ほぼ同じものを、毎年つくり直しているのが実情です。
一度デジタルで作成しておけば、翌年以降はデータを呼び出して修正するだけで済みます。さらに、電子黒板などの大型ディスプレイに映して使う運用に切り替えれば、印刷・配布・回収という手順そのものがなくなり、準備と後片付けの時間を圧縮できます。
【電子黒板の活用事例】広島県・てまりこども園】
リトミックの楽譜をはじめとする教材を職員が毎回手作りしていた同園では、電子黒板「ミライタッチ」の導入により教材作成の負担が軽減されました。その結果、先生が子どもたちと向き合う時間が増え、職員からも「本当にラクになりました」という声が上がっています。※2

負担感3位の保護者連絡も、効果を実感しやすい領域です。
紙の連絡帳をアプリに置き換えることで手書きの時間が削減され、欠席・遅刻の受付や行事のお知らせを一括送信できるようになれば、電話対応と印刷・配布の手間も減ります。写真付きのおたよりを配信することで、送迎時以外にも園の様子が伝わり、保護者との関係づくりにつながったという報告もあります。
玄関の掲示物についても同様です。紙のポスターは印刷・掲示・撤去という手順が毎回発生しますが、デジタルサイネージやモバイルディスプレイを使えば、遠隔から内容を更新できます。行事前の慌ただしい時間帯でも、必要な情報を確実に届けられます。

最後に、職員会議と園内研修です。
資料を人数分印刷して配布する代わりに大画面に映して共有すれば、印刷コストと準備時間が削減できます。さらに電子黒板であれば、議論しながら画面に書き込んだ内容をそのままデータとして保存・共有できるため、議事録作成の手間も抑えられます。
電子黒板「ミライタッチ」は、資料の投影・書き込み・保存を1台で行えるため、会議・研修のペーパーレス化にも活用いただけます。②で紹介した保育活動での利用と兼用できる点も、投資判断のうえでは押さえておきたいポイントです。

業務効率化を園として進めるうえで、コストは避けて通れない論点です。ここで押さえておきたいのが、令和8年度(2026年度)から新設された保育ICT推進加算です。※3
加算額
主な算定要件
補助金のような単年度の支援ではなく、要件を満たし続ける限り毎年継続して運営費に加算される点が特徴です。「導入すること」ではなく「活用し続けること」が評価される制度設計になっています。
ただし、ここで注意が必要です。加算の対象となる4機能は、いずれもシステム領域の業務です。前述した打ち手のうち、①の記録業務と③の保護者連絡はここに含まれますが、②の教材・資料作成と④の会議・研修は加算の対象外です。
つまり、加算制度を使い切っても、
といった領域は残ります。保育ICTシステムと大型ディスプレイ(電子黒板)は、競合する投資ではなく、カバー範囲の異なる両輪と捉えるのが実態に即しています。加算でシステム領域のコストを賄いながら、加算では埋まらない領域に別途手を打つ——これが、限られた予算で効果を最大化する考え方です。
導入したものの使われない、という失敗は少なくありません。園として押さえておきたい点を3つ挙げます。
負担感の大きい業務を一つ選び、そこから始めます。連絡帳のデジタル化から着手する園もあれば、会議のペーパーレス化から始める園もあります。規模や予算に応じて、着手点は変えて構いません。
ICTが定着するかどうかは、最終的に「職員が使いこなせるか」で決まります。操作が複雑なツールは現場に残りません。電源を入れればすぐ使える、直感的に操作できることを選定基準に据えてください。なお、ICT活用責任者の配置は前述の加算要件でもあるため、制度対応と定着施策を兼ねられます。
連絡手段の変更は保護者の生活にも影響します。切り替えの意図とスケジュールを事前に共有しておくことで、導入後の問い合わせ対応を減らせます。

保育士の残業は、個人の段取りではなく園の業務量の構造から生まれています。効率化を進める際は、負担感の大きい業務から順に着手するのが効果的です。
また、令和8年度の保育ICT推進加算はシステム領域をカバーする一方、教材作成や保育活動そのものは対象外です。加算で埋まる範囲と埋まらない範囲を切り分けて予算を組むことが、園全体の負担軽減につながります。
先生が笑顔で働ける環境が、子どもたちの笑顔につながります。まずは「一番手間がかかっている業務」を一つ、洗い出すところから始めてみてください。
電子黒板「ミライタッチ」は、保育活動・教材づくり・職員会議まで1台で対応できる、幼児教育も含めた境域機関向けのインクルーシブ電子黒板です。実際の活用シーンや機能、導入園の事例をまとめています。

▼幼稚園・保育園向けミライタッチの詳細を見る
https://mirai-touch.com/preschool/
〔内部リンク:幼稚園・保育園で電子黒板が注目される理由とは?子どもの可能性を広げる新しい保育のカタチ〕
【注釈・引用元】
※1 三菱UFJリサーチ&コンサルティング株式会社「保育士等の意識及び業務負担軽減に関する調査研究 報告書」
(令和7年度子ども・子育て支援等推進調査研究事業、令和8年3月)
https://www.murc.jp/wp-content/uploads/2026/04/koukai_260423_02_19.pdf※2 ミライタッチ 導入事例「てまりこども園」
https://mirai-touch.com/case/1762/※3 令和8年度 保育ICT推進加算について(コドモン)
https://www.codmon.com/column/subsidy_3/