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2025.06.18 セミナー

【EDIX東京2025 講演レポート/横浜市立鴨居中学校】 授業アップデート、校務DX、学びのUD化…あらゆる教育DXを推進するためのカリキュラム・マネジメント

さつき株式会社は、2025年4月23日(水)〜25日(金)に開催された「第15回EDIX(教育総合展)東京」に出展いたしました。

EDIX(教育総合展)とは、小学校、中学・高等学校、大学、専門学校、教育委員会、地方自治体、塾・予備校などの教育関係者が多数来場する、日本最大級の教育分野の総合展示会です。

当社では、「ミライタッチ」の機能や現場での活用方法などを担当者が実演デモを交えて詳しくご紹介したほか、自治体・学校の現場の先生方による特別セミナーも開催されました。

今回の記事では、登壇された「横浜市立鴨居中学校」校長・長島和広氏による講演「教育DXを進めるカリキュラム・マネジメント〜全ての子どもたちの学びを深めるために〜」を振り返ります。

 

【登壇者プロフィール】

横浜市立鴨居中学校

校長 長島 和広

 

リーディングDXスクール指定校が立てた、3つの取り組み方針

横浜市立鴨居中学校は、令和6年に文部科学省より「リーディングDXスクール」の指定校に選出された創立47年の市立中学校。授業で積極的にGIGA端末を使用しているだけでなく、校務DXや学びのUD(ユニバーサルデザイン)化など、あらゆる角度から包括的に教育DXを推進しようとしている学校です。今回はそんな鴨居中学校の校長・長島氏が、これまで実践してきた実例も踏まえながら、教育DXを進めるカリキュラム・マネジメントについて語りました。

長島:

鴨居中学校は、ICT活用や不登校支援、外部連携、ブランディングなどに強みを持つ一方、授業改善や生徒指導、地域連携、指示系統などに弱みがある学校だと認識しています。これを踏まえ、強みを伸ばしながら弱みを補っていくための3つの方針を設定しました。

まず1つは「ICTの活用で授業改善へ」、2つ目は「不登校支援で生徒指導を」、3つ目が「働き方改革で学ぶ時間をつくる」です。

私は鴨居中学校の校長、つまりマネージャーとして、この3つの取り組みを通して「学び続ける教職員を育て、子どもたちに還元するための“学ぶ仕掛けづくり”」に励んでいます。

ICT活用だけでなく、授業のあり方から変えるアップデートに挑戦

続いて長島氏は、これまで取り組んできたことを具体的に紹介しました。

長島:

まず授業のアップデートを図るために、リーディングDXスクール指定校として公開授業を行いました。単にICTを活用するだけでなく、“授業を変える”という視点を先生方に持ってもらいたかったんです。初めは先生方から不安の声もあがりましたが、「普段の授業に少し+αするだけでいいよ」「公開授業といっても、生徒の学ぶ姿が主役だよ」と伝え、授業の形を変えるハードルを少しずつ下げていきました。

従来の授業といえば、ひたすら黒板や先生と向き合って知識を頭に詰め込むのがお決まりの形だったと思います。しかし当校は生徒の主体性を伸ばすために、授業を「対話や協働的なワークを通して学び、それを自ら振り返る場」へと変化させています。

保護者や地域の方からは「それでは知識を身につけられないのでは?」という意見も挙がりましたが、当校ではその懸念点も踏まえて、教育課程に少し工夫を施しています。通常50分の授業を45分に短縮する代わりに、「スキルタイム」という、デジタルドリルで基礎知識を吸収する時間を朝に設けているんです。また知識理解の質を向上させるため、デジタルドリルを販売するMonoxer社や東京学芸大学との共同研究にも参画しています。

また長島氏は、不登校生徒をどのように支援しているかについても語りました。

長島:

当校は、教員の「寄り添う姿勢やマインド」を磨くことに力を入れています。我々の目標は「不登校生徒を教室に戻すこと」ではありません。生徒が自分の気持ちを自分でコントロールできる状態、つまり「生徒の自立」を目指しているんです。

たとえば、不登校生徒と先生は毎日オンラインで朝学活を行って、生徒が自分で立てた時間割を確認します。この時間割では、数学や歴史といったコマのほか「学校に来てとりあえず動画を見る」「卓球をする」なんて自由なコマもOKとしていますね。また、大人との関わりで自分の将来像を描いてもらえるよう、コミュニケーション能力を育む「おしゃべり会」や、軽いスポーツを楽しむ「なごマリタイム」なども民間企業やフリースクールと連携して開催しています。このように子どもたちの気持ちに寄り添うことを心がけてきたからか、今は不登校生徒も減少傾向にあります。

「ミライタッチ」の活用で、不登校生徒の学習環境が大幅に改善

不登校支援の話題の中では、電子黒板「ミライタッチ」の活用事例も紹介されました。

長島:

不登校支援では、テクノロジーの力が特に役立っています。先ほどの朝学活のほか、家からでも学習ができるよう普段の授業をオンライン配信しているんです。しかし、配信する際に1つ困りごとがありました。当校では以前までプロジェクターを画面投影装置として使っていたのですが、配信だと白飛びして見えなくなってしまうんです。加えて音響もあまりよくなく、「先生の声が聞き取りづらい」という意見も挙がっていました。

そこで導入したのが、電子黒板「ミライタッチ」とビデオバーです。実際に配信されている授業を見てみると、画面がすごくクリアに映っているのが分かります。また、ミライタッチは普通のChromebookと同様のOSが搭載されている機器であるため、オンラインでも教室にいる生徒と同じように早押しクイズに参加したり、「ここが分かりにくい」とチャットを飛ばしたりすることができます。ミライタッチを活用することで、生徒は家からでも授業の臨場感や楽しさを享受できるようになりました。

試行錯誤が続く、教職員の働き方改革

講演の後半では、教員の働き方改革についても言及しました。

長島:

当校では、まず教職員がどれくらい働いているかをデータで見える化し、現状把握を行いました。月45時間以上の時間外労働を行っている先生も多く、やはり教育現場は長時間労働が慢性化しているなと実感させられましたね。これを改善するため、当校では先生方にその日の終業時間を申告してもらい、決めた時間に退勤するよう呼びかけています。また職員室にもチャイム付きの時計を設置するという、早期の帰宅を促す工夫も施しました。

その上で、現在は一歩先の取り組みも行っています。鴨居中学校は横浜市から「次世代校務環境実証校」に指定されており、環境改革に協力しているんです。現状、当校のさまざまな校務データはNASというシステムに入っていますが、生徒が使う教材などは各先生が個人的にGoogleドライブに保存しています。これを1つに統合して管理できないか?と試行錯誤している最中です。

長島氏は最後に「教育DXと言われても、テーマが大きすぎてなかなか現場が変わらないのが教育業界の現状。それをいかに分かりやすく噛み砕き、先生たちと一緒に学校作りをしていくかが大切。今回の講演で話した当校の取り組みが、皆さまの参考になれば幸いです」と語りました。

この記事の著者

ミライタッチ編集部

ミライタッチ編集部

ミライタッチは、1931年創業の“社会貢献事業”会社であるさつき株式会社が開発。皆の夢を叶えて、豊かな未来の創造のお手伝いをすることが、私たちの使命です。コラムでは、電子黒板に関する情報や、教育現場で働く方々に向けた情報発信を行なっています。