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2025.06.19 セミナー
さつき株式会社は、2025年4月23日(水)〜25日(金)に開催された「第15回EDIX(教育総合展)東京」に出展いたしました。
EDIX(教育総合展)とは、小学校、中学・高等学校、大学、専門学校、教育委員会、地方自治体、塾・予備校などの教育関係者が多数来場する、日本最大級の教育分野の総合展示会です。
当社では、「ミライタッチ」の機能や現場での活用方法などを担当者が実演デモを交えて詳しくご紹介したほか、自治体・学校の現場の先生方による特別セミナーも開催されました。
今回の記事では、登壇された鎌倉市教育委員会 永井洋斗基氏、西鎌倉小学校 坂本拓生氏、腰越中学校 坂本龍史氏の3人による講演「鎌倉市における学習者中心の学び~小中1名ずつの先生による事例紹介~」と、鎌倉市立由比ガ浜中学校 岩田明氏、熊坂健仁氏による講演「鎌倉市における学習者中心の学び~由比ガ浜中学校について~」を振り返ります。
【登壇者プロフィール】
鎌倉市教育委員会 教育指導課 永井 洋斗基
西鎌倉小学校 教諭 坂本 拓生
腰越中学校 教諭 坂本 龍史
鎌倉市立由比ガ浜中学校 分校長(リーダー) 岩田 明
鎌倉市立由比ガ浜中学校 教諭(スタッフ) 熊坂 健仁
目次
「鎌倉市における学習者中心の学び~小中1名ずつの先生による事例紹介~」の講演では、まず鎌倉市教育委員会の永井氏が、鎌倉市の教育状況について紹介しました。
永井:
鎌倉市では、2024年度より「学習者中心の教育活動」を推進してまいりました。その取り組みの中で、我々がよく用いるのが“炭火”というキーワードです。子どもたちの学びへの興味が一度付いたら、炭火のようにじわじわと燃え広がって、生涯にわたり豊かに灯され続ける。そんな教育環境を目指しています。特に、学習者自身が学びのハンドルを握れる学校教育を理想とし、先生方には日頃の授業展開を考えていただいています。
ICT環境としては、鎌倉市では一人一台端末にiPadを利用しています。Wi-Fi環境がなくても使用できるセルラーモデルを採用し、どんな場所でも学習が止まらない環境を実現しました。そして、各教室に設置する大型モニターとして愛用しているのが、さつき株式会社の電子黒板「ミライタッチ」です。
今回は、鎌倉市内の学校がどのようにICTを活用しているのか、西鎌倉小学校の坂本先生と腰越中学校の坂本先生からお話しいただきます。
まずは西鎌倉小学校の坂本氏が、ミライタッチの魅力を語りました。
坂本:
鎌倉市の学校では、以前までテレビやプロジェクターを大型提示装置として使用していました。ただ、やはり座っている場所によって見えづらかったり、セッティングが面倒だったり…といった苦労や制限があったんですね。しかしミライタッチを導入してからは、本当にいろいろなことができるようになりました。
たとえば、どのクラスでも活用しているミラーリング機能です。生徒のタブレットを線1本、あるいは無線で簡単に接続してミライタッチに表示できるのがとても便利です。その他、「NHK for School」にアクセスして授業にあわせた番組を視聴したり、モニター下に内臓されている書画カメラで生徒のノートや紙資料を投影して撮影し、その写真に文字や線を書き込んだりすることも多いですね。私自身は、Googleドライブにクラウド保存しているデータを表示したり、ホワイトボードの画面を分割して2人同時に書き込んだり…といった使い方をすることもあります。
また、私は空き教室のミライタッチをお借りして2台使いすることもあります。たとえば4年生のクラスで防災についての授業を行ったときは、片方には配布した資料を、もう片方には生徒のノートを表示して、授業の学びをどのようにまとめたかを班ごとに発表してもらいました。それぞれの発表を受けて、生徒たちは「もっとこうした方がいいんじゃないか」「この要素を足した方がいいのでは」と、熱く意見を交わしていました。ミライタッチがあると、私が何も言わなくても生徒が積極的に授業に参加してくれるんです。
ある道徳の授業では、「世の中に決まりがある方がいいか、ない方がいいか」という質問を投げかけ、リアルタイムでアンケートを実施したこともあります。その授業では生徒に自分の意見を発表してもらい、それを聞いて自分の考えが変化したら、アンケートの回答も変えられるような仕組みにしました。ミライタッチに表示されているアンケート結果もリアルタイムで更新されるので、学習者中心の臨場感ある授業になりましたね。
このように、授業でミライタッチを活用すると、学習した内容の理解度や自分で考える力はより一層深まると実感しています。使うメリットがたくさんあるツールですので、より多くの方にこの魅力が伝わればいいなと思います。
続いて、腰越中学校の坂本氏が登壇。まずは腰越中学校の「学びに対する課題」について語りました。
坂本:
中学生は、小学生と比べると学ぶ教科が多くなり、それぞれの専門性や難易度も高まります。すると得意教科・苦手教科が生まれ、学習格差も広がってしまいます。また、否が応でも通知表で評点が出てしまうため、生徒たちは各教科への純粋な興味というよりも「評価のために課題をこなさなければ」「テストの点数を稼がなければ」という思考に陥ってしまうんですね。それは本当に豊かな学習と言えるだろうか?というのは、私自身も疑問に思っていたところでございます。
腰越中学校では、生徒の主体性を育み、豊かな学びを促すには「生徒同士が助け合いながら、一緒に考える場を創出すること」が重要だと考えました。そこで、それぞれの考えや意見を共有するツールとしてICTを積極的に活用しています。
また坂本氏は、腰越中学校でのICTの活用事例も紹介しました。
たとえば理科の実験を行う授業では、それぞれの班が取得したデータをオンライン上でクラス全体に共有し、自分たちの結果と比べられるようにしています。すると、他とは明らかに違う数値が出た班からは「もう一回実験しなおしてみたい」と、前のめりな声があがるんですね。
電流について学ぶ授業では、「なぜコイルは動くのか」というテーマでグループワークを実施しました。通常の教科書には実験結果や使われる用語は載っているものの、コイルが動く仕組みまでは詳しく解説されません。そこで、各班のFigJam(自由に文字や図が書き込めるオンラインホワイトボード)をミライタッチに表示しながら、その仕組みについて話し合ってもらいました。そうすると、最初は難しい顔をしていた生徒が、他の班のホワイトボードを見て何かをひらめいたり、分かった子が自ら先生になって解説したりする動きが見られたんです。最終的には、どこからか拍手が起こるほどの盛り上がりを見せていました。
ちなみに私は、理科の授業に関する疑問をいつでも投稿できる「なんでも質問箱」というフォームをオンライン上に設置しています。「なんでも質問箱」のポイントは、私だけでなく生徒も質問に回答できる点です。生徒同士で教えあったり、学びあったりできる作りにしているんです。
生徒の教育にICTを活用する中で、私は「授業は案外、生徒たちに任せられる」ということを学びました。教科書どおりではなく、子どもたちが持った疑問を糧に授業を展開していくと、子どもたちの主体性はどんどん伸びていきます。今後も結果ではなく過程を重視した授業づくりを、ICTを活用しながら行っていきたいと考えています。
「鎌倉市における学習者中心の学び~由比ガ浜中学校について~」の講演では、まず分校長(リーダー)の岩田氏が、由比ガ浜中学校の概要を紹介しました。
岩田:
由比ガ浜中学校は、2025年4月に開校されたばかりの「学びの多様化学校」です。いわゆる不登校生徒を擁する学校で、今年度は31名が転入学してきました。まだ開校して2週間ほどですが、ほとんどの生徒が登校してきている状態です。
当校のスクールビジョンは「自分らしく学び、自分らしく成長できる学校」。社会的な規範に縛られるのではなく、とにかく“自分らしさ”を尊重できる環境づくりにこだわっています。大きな特徴は、通常年間1015時間あるカリキュラムを770時間に短縮している点です。短縮された約250時間分の授業は完全になくなるわけではなく、重要な要素は残したまま「ULTLA」と呼ばれる新教科などで補われます。
当校の教室を作るにあたっては、多数の企業様にご支援をいただきました。家具や機材、書籍の寄付など多くの力添えをいただきまして、本当にありがたい限りでございます。家具の組み立てや設置には生徒や保護者の方も参加し、みんなで一緒に教室を作り上げました。
由比ガ浜中学校の面白いところは、決まったルールが一つもないところです。たとえば、開校当初は掃除の時間すら設けていなかったのですが、つい最近ある生徒の発案によって「掃除ボランティア」を募る動きが生まれました。また、今は生徒から「修学旅行に行きたい」という意見が挙がっており、計画を進めている段階です。
そんな当校では、さつき株式会社のミライタッチが大いに活躍しています。その活用事例について、教諭(スタッフ)の熊坂より紹介します。
岩田氏からの紹介を受け、熊坂氏がミライタッチを普段どのように活用しているか語りました。
熊坂:
当校には現在教室が3つあり、どの教室にもミライタッチを導入しています。大袈裟ではなく、鎌倉市立由比ガ浜中学校はミライタッチがなければ授業は始まりません。
まず授業は、ミライタッチにスライドを投影して進めていきます。またiPadで開いたGoogleのスプレッドシートをミライタッチにミラーリングし、リアルタイムで編集しながら話を展開することも多いですね。さらには電子顕微鏡とミライタッチをつなげて大画面で表示させることも可能なため、理科の授業では大いに役立っています。ちなみに、授業だけでなく保護者の方への説明会や、教員の研修、入学式などの式典でもミライタッチを活用しました。
ミライタッチの良い点は、“直感的に分かる授業”ができる点だと思います。これまでの授業といえば、先生の話をひたすら聞き続けるのが普通でしたよね。しかしミライタッチがあれば、聴覚だけでなく視覚や触覚にも訴えかける授業を展開できるんです。生徒の中には、情報を耳から入れるのが得意な子、視覚で捉えるのが得意な子、体を動かしながら学ぶのが得意な子…など多様な特性を持った子がいるため、それぞれの学習スタイルに合わせたアプローチが可能になり、より多くの子どもたちが深い学びを得られるようになりました。
今後は、ミライタッチのAI文字起こし機能を積極的に活用していきたいですね。当校には耳が不自由な方や高齢者の方がいらっしゃることもあるため、コミュニケーションツールとして非常に役立つのではないかと期待しています。
最後になりますが、ミライタッチによって子どもたちの学びに対する姿勢は劇的に変わりました。将来的には、それが子どもの未来を変えることにもつながると考えています。さらに活用して、子どもたちの成長を手助けしていきたいですね。
この記事の著者
ミライタッチ編集部
ミライタッチは、1931年創業の“社会貢献事業”会社であるさつき株式会社が開発。皆の夢を叶えて、豊かな未来の創造のお手伝いをすることが、私たちの使命です。コラムでは、電子黒板に関する情報や、教育現場で働く方々に向けた情報発信を行なっています。