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2025.06.26 セミナー

【EDIX東京2025 講演レポート/中央区教育委員会】 職員が働きやすい環境をつくる。ミライタッチが実現する「GIGA×ゼロトラスト」「フルクラウド×校務DX」

さつき株式会社は、2025年4月23日(水)〜25日(金)に開催された「第15回EDIX(教育総合展)東京」に出展いたしました。

EDIX(教育総合展)とは、小学校、中学・高等学校、大学、専門学校、教育委員会、地方自治体、塾・予備校などの教育関係者が多数来場する、日本最大級の教育分野の総合展示会です。

当社では、「ミライタッチ」の機能や現場での活用方法などを担当者が実演デモを交えて詳しくご紹介したほか、自治体・学校の現場の先生方による特別セミナーも開催されました。

今回の記事では、登壇された「中央区教育委員会」の指導室 教育DX担当係長 中島 淳 様の講演内容「中央区教育ICT2025 GIGA×ゼロトラ/フルクラ×校務DX」を振り返ります。

 

【登壇者プロフィール】

中央区教育委員会事務局
指導室 教育DX担当係長 中島 淳

約20年間、紙製品・事務用品の商社に在籍し、システム担当、営業所長、執行役員を経験。2019年7月から中野区内の小学校3校でICT支援員として携わり、2020年4月から中央区教育委員会 教育ICT推進業務補助員として、GIGAスクールのICT推進業務に携わる。2024年4月より、中央区教育委員会 指導室 教育DX担当係長に就任。「現場ファースト」を心がけ、子供と教員が幸せになるような環境を用意することが自らのミッション。

GIGAスクール構想が始まって把握できた、様々な問題点

中央区は、人口が約18.7万人(2025年3月現在)の地域。30年前は人口が約6.3万人しかおらず、30年間で約3倍に人口が増えています。2024年に小学校と中学校が開校しており、現在は小学校17校(小学生9500人)、中学校5校(中学生1800人)となっています。

教育ICT環境の充実を図り、教員や児童生徒の力を最大限に引き出すことを目指す取り組み「GIGAスクール構想」。2019年に文部科学省から提唱されて、どのような取り組みと問題点が生じたのかが、まず語られました。

中島:
中央区では、2020年11月にWindowsの「Surface Go2」を学習用タブレットとして3人に1台を整備し、全普通教室にプロジェクタ型電子黒板を整備しました。そして2021年4月に、文部科学省からの通達もあり、「学習用タブレットを1人1台」で整備。家庭学習ができるように、SIMカードを全台に装填しています。

中央区では児童生徒数が毎年増加しており、学習用タブレットの追加発注が毎年必要だったんですね。リース契約で機種を用意するのですが、契約期間が異なる機器が校内に混在するようになりました。また、プロジェクタ型電子黒板も追加で設置が必要になるのですが、普段教室では授業をやっているので夏休みまで設置工事ができないという問題も発生。クラス編成の都合で教室にあるプロジェクタ型電子黒板を移設したくても、予算がなく実施不可。プロジェクタ型電子黒板では投影時に黒板の1/3を占有してしまい、黒板で書くスペースが減ってしまう⋯など、多数の問題がありました。

また、中島氏は「アカウント管理の課題」と「通信環境やネットワークの課題」があったと語ります。

中島:
タブレット端末のログインや学習コンテンツ「ミライシード」、Googleなど、アカウントの種類が多く、それぞれでIDとパスワードを覚えないとならず、児童生徒や教員に負担を与えていました。パスワードは自分で覚えなくてはいけないのですが、低学年の子ども達には難しいですよね。

もう1点、通信環境やネットワークにも課題がありました。中央区はタワーマンションに住まれる方も多いのですが、上層階ではLTEの電場が届かず利用できなかったんですね。セキュリティの関係上、持ち帰り時の利用では家庭のWi-Fi接続を不可にしていたので、対応が求められました。また、授業中に少し重たいデータをアップロードする際にネット接続が切れるなどの問題もよく発生していました。中央区は羽田空港に近いこともあり、電波干渉が多く、校内のWi-Fiがよく切断されるという事態があったのです。

 

これからのGIGA第2期に向けて、中央区が実施すること

さきほどの問題点に対して、中央区はGIGAスクール第2期で万全な対策を実施しました。

中島:
まず、1つ目の課題である「人口増加対策、学級編成・移設対策」に対して、文部科学省から「児童生徒数+15%の補助金が出る」というお達しがありましたので、ICT設備の強化を図りました。そこで導入決定されたのが、教室への設置や移設が柔軟に対応できるディスプレイ型の電子黒板「ミライタッチ」です。ミライタッチであれば、従来の黒板と併用でき、スペースに限りがある問題もクリアできます。2025年の夏に、現在のすべてのプロジェクタ型電子黒板を、75インチの大型ディスプレイであるミライタッチに変更完了予定です。

「アカウント管理が大変」という課題に対しては、基本的に1つのアカウントで完結できるようにしました。これを可能にしたのも、ミライタッチのおかげです。

タワーマンションの上層階でLTEが利用できない問題も、家庭のWi-Fi接続にも対応できるようにしました。ネットワーク対策として、校内のLANやスイッチ等の換装を行い、校内ネットワークの高速化を実現。Wi-Fiの周波数を電波干渉の少ない6GHz帯にすることで、航空機の影響を受けない環境も実現できました。

教員が働きやすい環境を実現するために

次に中島氏は「ゼロトラスト/フルクラウド」が、教員の働きやすい環境をつくるために必要だと語ります。

中島:
実は、教員のPC端末は利用用途によって3つに分離されています。普段の授業を行うために利用する「学習系」、インターネットなどを閲覧する「校務外部系」、子どもたちの成績を管理する際に利用する「校務機微情報系」(インターネットは閲覧不可)の3種類です。

それぞれでアカウントが設定されており、校務ができる場所は職員室のみと限定されています。また、三層間でのファイル移動はファイル交換システムを使う必要性があり、その使用承認も校長先生への許可が必要という煩わしさがありました。ファイルサーバーも3層で存在し、どこに欲しいデータがあるのかわかりにくい問題もありました。

そんな状況でしたから、校務でのスピード感が欠落しており、“働き方改革”とは真逆だったんですよね。そこで今回追求したのが、新環境「ゼロトラスト/フルクラウド」です。情報管理で大事な機密性、可用性、完全性、柔軟性、拡張性を確保するシステムをクラウドで構築し、高度なサイバー攻撃から情報を守るセキュリティ強化も実現しました。

PCのあらゆる通信を管理するSASEを導入し、安全管理を徹底。全てのファイルサーバーをSharePointOnlineに一本化し、欲しいデータをいつでも取り出せるようにしました。各種ログイン時に生体認証を含めた多要素認証を導入し、従来の”IDとパスワードが書かれた付箋をPCに貼る”ということが無いようにしました。先生たちのアカウントも1つだけにして、メールもチャットも同じアカウントで、学習系アプリも校務支援システムもシングルサインオンできるように変更。校務系も学習系もモバイルノート1台で完結できるようにし、ロケーションフリーを実現するLTE内蔵で、どこでも働ける環境を実現しました。

ミライタッチで実現できる、校務DX

「ミライタッチを導入したことで、校務DXの可能性が拡がった」と、中島氏は語ります。

中島:
各校で「ミライタッチ」が整備されたことで、これまで利用していたTVモニターが必要なくなったんですね。しかし、処分するのはもったいないので、別の用途で活用しています。

学校の職員室では、長年ホワイトボードで先生たちの予定を管理していたんですね。それをTVモニターをデジタルサイネージとして利用することで、従来のアナログ的な予定管理を改革しました。Googleスプレッドシートで予定を管理し、共同編集を可能にすることで、従来必須だった「校長先生への承認依頼」を無くすなど、校務のDX化が始まっています。

ドキュメントのDXとして、ペーパーレス化を促進しました。保護者への連絡手段や会議の資料、個人面談の資料などは、googleのスプレッドシートやフォームズなどのクラウドツールを利用しています。教員間の連絡手段も、従来利用していたグループウェアを見直し、一般企業と同じく電子メールやグループ共有が容易なTeamsチャットを利用しています。

最後に、「教員のサポートDX」について語ってもらいました。

中島:
これまで複数あったヘルプデスクを1本化し、チャットボットシステムの導入を検討しています。AIを多用することで、よくある質問に対してスピーディーな回答が得られる環境を整備中です。また、ICT支援員も1〜2校に1人体制とし、1ヶ月で18日間ほど常駐してもらい、授業系だけでなく校務系もサポートしてもらうことで、校務DXを推進していきたいです。

そして、生成AIの現場での活用をさらに活発化させていきたいですね。「Gemini」や「Canva」「AdobeExpress」を使って、文書作成などの効率化を図ってほしい考えです。文部科学省も生成AI利用の推奨をしていますし、ICTの世界には終わりがないので、今後も柔軟に対応しながら、より良い教育環境を提供していきたいです。

この記事の著者

ミライタッチ編集部

ミライタッチ編集部

ミライタッチは、1931年創業の“社会貢献事業”会社であるさつき株式会社が開発。皆の夢を叶えて、豊かな未来の創造のお手伝いをすることが、私たちの使命です。コラムでは、電子黒板に関する情報や、教育現場で働く方々に向けた情報発信を行なっています。