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導入事例 CASE STUDY
教育現場でのICT機器活用促進のために、ミライタッチを活用したオンライン研修を実施。新たな課題と今後の挑戦とは。
鳥取県教育委員会事務局
導入機器
65インチ液晶ディスプレイ一体型 電子黒板 M65CE2S
お話を伺った方
鳥取県教育センター GIGAスクール推進課
指導主事 濵家 雄 様
- 「GIGAスクール構想」によって1人1台のICT機器端末(iPad やChromebookなど)が支給されて、鳥取県の公立学校では「ICT機器をどのように活用して、授業を行うか」について悩まれていた。それを解決するために鳥取県教育センター内に新設されたのが、GIGAスクール推進課。教職員のICT活用能力向上および県の教育の情報化推進に取り組もうとされていた。
- 電子黒板『ミライタッチ』をフル活用して、教職員のICT活用能力向上を狙った「オンライン研修」を実施した。
- 『ミライタッチ』とiPad やChromebookを活用した授業が、以前よりも増して県内公立学校で行われるようになった。これによりICT機器に対して苦手意識を持っていた先生たちも、ICT機器を活用した授業に積極的に取り組むなど、教育現場でのICT機器活用が大きく促進された。
2019年に文部科学省が発表し開始された、学びの改革「GIGAスクール構想」。誰一人取り残すことなく子どもたち一人ひとりに個別最適化された、創造性を育む教育ICT環境を実現することが宣言されました。全国の小中学校では1人1台のICT機器端末(iPad やChromebookなど)も支給されて、「ICT機器をどのように活用して、授業を行うか」について悩まれた教職員の方も多かったのではないでしょうか。
鳥取県教育委員会事務局も当時、ICTの活用に悩まれていました。鳥取県教育センターは県内市町村の担当者と連携し、どのような教育を子どもたちにすべきかについて何度も議論したそうです。そんな中、2021年に新設されたのが、「GIGAスクール推進課」。設立以来、教職員のICT活用指導力向上および県の教育の情報化推進を目的に、様々な取り組みをされています。
今回、GIGAスクール推進課が取り組まれた施策についてお伺いし、特に電子黒板『ミライタッチ』がフル活用された「オンライン研修」についてお聞きしました。
GIGAスクール構想の実現に向けて、2021年にGIGAスクール推進課が発足。
鳥取県教育委員会事務局 鳥取県教育センター GIGAスクール推進課
指導主事 濵家 雄 様
最初に「GIGAスクール推進課」について教えてください。
2021年に鳥取県教育センター内に発足したのが、GIGAスクール推進課です。県内の教職員に対してICT機器をフル活用させるための推進活動や研修をしています。学校から要請があればお伺いし、ICTに関するサポートや特別研修も担っている部署です。鳥取県の小中学校は公立学校がほとんどですので、GIGAスクール構想を進めていくには、県内市町村との連携も必須。毎月、担当者と連携してICT活用方法や進捗について会議しています。
具体的にどのようなことをされているのですか。
具体的な活動目標としては、県内の教職員がICT機器を授業でフル活用して、子どもたちに対して創造性を育む教育を実施できるようにすること。鳥取県では、Google Workspace for Educationを導入しているのですが、まずはその操作方法からレクチャーしました。基本的な操作ができないと何も始まりませんし、ICT機器に対して苦手意識を持たれる先生たちも多いと思いますので、まずは基礎から丁寧に学べるようにしました。そして、操作方法に慣れてきた段階で、授業での活かし方や公務への応用、子どもたちの探究的な学びを推進するためのICT活用など、ICT機器を活用した授業づくりが実践できるように進めていきました。
教育方法で特に私たちがこだわったのが、『ミライタッチ』を利用した生配信の講義スタイルの研修です。県内の全教職員に対して、Google Workspaceを使ってオンラインで毎週火曜日に約20分間の生配信を行い、リアルタイムで学んでいただけるようにしました。これは他県とは少し異なるかもしれない、GIGAスクール推進課オリジナルの方法だと思います。
毎週生放送で、教職員に向けて「ICTリスキリング講座」を配信。
オンラインでのライブ配信で、ICT機器の使い方を講義するのは面白いですね。
2021年度は1年間かけて、全45回の配信をしました。このスタイルに決めたのは、ICT機器を使った授業を先生たちに受けてもらうことで電子黒板の使い方を知ってもらいたかったですし、先生たちに実際に端末を操作してもらい反応を見たかったという理由もあります。電子黒板『ミライタッチ』の画面に、先生たちとの共有スペースであるGoogle Workspaceを映したり、私が操作している姿を見てもらったり、カメラで撮影して配信するカタチで講義を行いました。時には、先生たちとその場で共同編集をしたり、アンケートに回答してもらったりもしました。生配信の時間に予定などがあって観られない先生たち向けにも、過去の配信動画はアーカイブで残し、復習もできるようにしています。
講義の内容は、「スライドの共有の仕方」「カメラ機能の使い方」「図入りの小テストの作り方」など実用的な内容から始まって、徐々に「Google Workspaceを活用した情報教育モラルの活用事例紹介」や「皆さまの疑問・お悩み解消」など専門的な内容へと移行していきました。まさにICT機器のフル活用方法が学べるリスキリング講座と言っても過言ではありません。
ご想像の通り、毎週続けるのはとてもハードでした(笑)。1年間やってみて様々な発見と学びがあり、2022年度は不定期開催で行うように変更しました。生放送ではなく、収録・編集したものをYouTubeで配信するなど、改善もしています。
先生たちの反応はいかがでしたか?
オンライン講座が直接起因しているかどうかは分かりませんが、iPad やChromebookと電子黒板『ミライタッチ』などの活用は以前よりもされていると感じています。講義スタイルで、実際にミライタッチを使うシーンを見ることができたので、画面に映った図を拡大・縮小させたり、ペンで文字を書いたり消したり、いろいろとできることが増えたという声もいただいています。ICT機器に対して苦手意識を持って触らないのではなく、積極的に利用する先生が増えたことは、大きな成果だと言えるでしょう。最近では「こんな使い方をしたいんだけど、どうしたらいいですか?」といった質問もたくさんいただくようになりました。
これは鳥取県だけでなく、他の県でも同様だと思うのですが、ICT機器に関して興味があって得意な先生は自身でどんどんと使って試されますが、苦手意識を持っている先生の中には、なかなか一歩を踏み出せないという方も多いです。そのような方に対して、「まずは、ここから取り組んでみましょう!」と動画で毎週伝えられたことは、良かったと思います。
GIGAスクール推進課の発足から約2年。新しい課題への挑戦。
今後はどのようなことに挑戦されますか。
現在課題が2つあり、その解決に挑んでいきたいと考えています。
1つ目の課題は、教員や学校によってICT機器に対する意識や考え方に大きな差が生じていること。教員によって意識が高くICT活用に積極的な人もいれば、そうじゃない人もいる。それは学校視点でも同じで、ICTに対して意識が高い学校もあれば、そうじゃない学校もある。その差を埋めていくために、できることは何かを今模索しています。「子どもたちの将来に向けてICTを学びでどのように活用するのか」という大前提の観点からの意識付けが必要ですし、ICT導入が成功している学校の事例紹介などを通して、改善を図っていければと考えています。
2つ目の課題は、iPad やChromebookを家に持ち帰った際に、学校と家での学びをどう繋げるかということ。家庭でも、ICT機器を使って様々な学習をできるようにするために、県と市町村との会議でも毎月議論しています。iPad やChromebookを持ち帰るには、普段から授業で使用している必要がありますし、家庭内でどんな学びを提供するのかという課題もありますし、家庭学習のルール整備や保護者の皆さまの理解・説明など様々な観点で意見交換をし、検討しています。
どちらの課題に対しても言えるのは、子どもたちの創造性を育む教育は、ICT機器の利用方法次第だということ。1人1台の端末と電子黒板を連携させることで、子どもたち一人ひとりが考えたことが瞬時にクラス全体で共有できるようになり、意見の交流が以前よりも盛んに行われるようになりました。先生たちにとっても、これまでは難しかったような授業を行うことが可能になり、学びのフィールドが大きく拡がったと言えます。これからは、従来の黒板と電子黒板『ミライタッチ』の両方を駆使して、子どもたちにたくさんの学びの場を提供できるようにしたい。そのためにできることを、GIGAスクール推進課は果敢に挑戦していきたい考えです。