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CASE STUDY

コミュニケーションを豊かにする「ミライタッチ」で実証研究をして分かったことーー 子どもが、自らの学び方を変える。

奈良市立平城西小学校

導入機器

65インチ液晶ディスプレイ一体型 電子黒板 M65CE2X Xシリーズ(ChromeOS Flex 搭載モデル) ※研究用機材

お話を伺った方

奈良市立平城西小学校

藤川 由佳 教諭

奈良教育大学教職大学院

小﨑 誠二 准教授

奈良市立平城西小学校

柴田 純 校長

GIGAスクール構想で、日本全国で情報活用能力を高めるために授業改革が求められるようになって数年。子どもたちに1人1台の情報端末(iPadやChromebookなど)が使える環境が整備されて、個別最適化された学びや協働的な学びを実現させたいと考えていた。
ICTを活用した授業や新しいカリキュラムを模索する研究の一環で、コミュニケーションボード「ミライタッチ」を試験的に利用して、実証研究をした。
先生の教え方は変えなくても、子どもたちの学び方は劇的に変わった。 子どもたちは、黒板とデジタル機器の違いを感じている次元ではなく、目と目を見て直接でも、デジタル機器を使って間接でも、必要なコミュニケーションに合わせて、学び方を無意識に変化させることが分かった。 今後はコミュニケーションの仕方にも変化が出てくることが予想できる。これまで電子黒板と呼ばれていたICTは、黒板の域を超えており、子どもたちの協働的な学びに欠かせない“コミュニケーションボード”となるだろう。

新しい教育課程のためにスタートした「GIGAスクール構想」。日本全国で情報活用能力を高めるために授業改革が求められるようになって、数年が経ちました。子どもたちに1人1台の情報端末(iPadやChromebookなど)が使える環境が整備されたものの、個別最適化された学びや協働的な学びを実現させるために悩まれている学校はまだまだ多いのではないでしょうか。実際、機器の整備だけに止まってしまい、以前と変わらない方法で授業をしている学校も多いのではないでしょうか。

今回ご紹介するのは、奈良市立平城西小学校です。ICTを活用した授業や新しいカリキュラムを模索する研究の一環で、コミュニケーションボード「ミライタッチ」を利用した実証研究を2023年4月から開始しました。配置したのは特別専科授業を行う理科室。大勢の子どもたちがミライタッチを使って授業を受けています。

今回の記事では、同校の柴田校長と藤川教諭に、ミライタッチ利用後の感想や子どもたちの変化についてお伺いしました。また、教育における情報化推進の観点から奈良教育大学教職大学院の小﨑准教授にも、ミライタッチの利用で見えたことを語っていただきました。

子どもたちにとって、ミライタッチはごく自然で、当たり前なもの。

はじめてミライタッチを見た子どもたちは、どんな反応でしたか?

奈良市立平城西小学校 

藤川 由佳 教諭

平城西小学校では理科を専科授業で行っています。今回は、理科室にミライタッチを試験的に常設しました。普通教室では、黒板とTVモニターを使用していますが、初めてミライタッチを見た子どもたちは、まず画面の大きさと画質の良さに驚いていました。

たとえば、昆虫が拡大されて忠実に再現された写真を見せたとき、昆虫の生々しさに「ぎゃー」という叫び声があがるほど(笑)。その鮮明さや迫力に心が奪われるような体験をしているようでした。従来の黒板とは違って、画面に魅入ってしまう子が圧倒的に増えています。

あと、ミライタッチの機能面での話ですが、授業で書き示した内容をそのままミライタッチ本体やクラウドに保存することができるんですよね。毎回の授業の初めに「この前は、こんな勉強をしましたよね」と前回書いた内容を映して復習ができますし、子どもたちも前回の授業時の思考状態に戻って振り返り、そのまま引き続いて学ぶこともできるので、学習の理解度は以前よりも深くなっているのではないかと感じています。

●過去の授業の板書をすべて保存できるので、いつでも容易に振り返りができる。

ミライタッチで行われる授業は、子どもたちにとって特別なものなんでしょうか?

普通教室では黒板で授業を受けていますので、子どもたちにとって「専科授業の理科だけ、電子黒板になることについてどう思っているのかな?」と思い、「ミライタッチで授業を受けてみて、不都合なことはありますか?」と聞いてみたんですね。すると、子どもたちの反応は「何も困らない」でした。「チョークの粉が飛ばないし、消さなくていいし、続きができるし、こっちのほうが良い」という声が多くありました。「先生はなんでそんな当たり前なことをわざわざ聞くんだろう?理科の授業はミライタッチでしょ」という反応ももらいました(笑)。

子どもたちがミライタッチを使う授業にすぐに慣れたのも私には驚きでした。効果的に使えば、ミライタッチ1台で授業が全て完結しますし、これまでの授業のように黒板に大きくプリントアウトした紙を貼るようなことも一切なくなりましたので準備の手間も大きく減りました。教室の前方にあるミライタッチの画面と手元のChromebookの画面を交互に見ながら進んでいく授業に、子どもたちは抵抗がなく、以前からこんな授業をやっていたかのように難なくこなしています。

やっと電子黒板が、私たちが自然に使えるレベルになってきた。

藤川先生がお話しされたことを聞いて、小崎准教授はどう感じましたか?

奈良教育大学教職大学院

小﨑 誠二 准教授

藤川先生のお話を情報活用能力の視点で紐解いてみたいと思います。まず、ミライタッチの映像の美しさに代表される視覚面での話。これまでの授業では何か見せたいものがある場合は、紙にプリントアウトしたり、TVのモニターやプロジェクタで見せるのが一般的でした。デジタルで大画面でフルカラーの凄い点は、「映像の質感までもが表現できる」という点なんですね。生物の毛並みや皮膚の質感などは、水分までが感じられて細部まで表現できるので“リアルさ”が全く異なります。

もし、トークと文字だけで情報伝達をするのであれば、デジタルのモニターになったからといって、紙や従来の黒板とはさほど変わらないでしょう。画像の質感やリアルさが向上したので、いろいろな面でコミュニケーションボードの圧勝なんですよね。プロジェクターでどんなに解像度をあげようとしても、従来の黒板でどんなに工夫をしようとしても、“みずみずしさ”までは表現できません。

しかも拡大や縮小、書き込みも簡単にできてしまうので、見せたい箇所を明示してリアルに伝えることができます。この点は間違いなく従来の環境と異なり、子どもたちに強烈なインパクトを与えて、学ぶ意欲や学習内容の理解が深いものになることは間違いないと思います。

ミライタッチ自体で授業内容を保存できて、容易に復習ができる点はいかがですか?

これからの教育では、「子どもたち自身が自ら学んでいけること」が目指すべきベクトルの一つとされているんですよね。学校教育とは、「困った時に自分自身の力で考え抜く力を発揮する」ためのトレーニングをしていると言ってもいいかもしれません。

ちなみに、私が考える自分自身で学んでいくために大切なことが3つあります。

1つ目は、「困った時に助けてもらえる環境の中に、自分がいる」という安心感です。いつでも質問や相談ができる先生がいたり、一緒に考える仲間がいたり、支えてもらえる環境にいることはとても重要です。

2つ目は、学んでいく過程で「あれ?分からない」「前回はどのようにやったかな?」という場合に、すぐに先生や友達に助けてもらえないときに、自身の力で“学び直す”ことができるということです。

その“学び直す”という観点でみると、ミライタッチは、前回の授業内容を復習できるのが大きな利点です。従来の黒板ではスペースに限りがあって消す必要がありましたが、板書した内容を消す必要がなく、どんどん拡大したり逆に縮小したりして授業を進められることはいいことです。過去の内容にいつでも戻れることによって学びをさらに深いものへ誘うことができる。この点は劇的に違います。

●毎回の板書内容はQRコードで各自のタブレット端末に保存。学び直しが可能に。

3つ目は、子どもたち一人ひとりが自身で書いたり、操作したり、説明したり…と自由に使えることによって、オリジナリティなものをクリエイティブに生み出せるという点です。人前で話すことや文字を書くことを苦手だと感じている子がいますが、できること、得意なことを生かして力を伸ばすことができるのです。学びの中で個性を生かして伸ばせることは、主体的な学びの視点でもとても重要です。

子どもたちが、ミライタッチを使った授業を当たり前なものとして受け入れているのは、どうお考えですか?

この点はとても大事ですよね。子どもたちにとって「従来の黒板とミライタッチを使って行う授業は、どちらも変わらない」と感じているんですよね。黒板よりも、ミライタッチの方が多機能だったり、できなかったことができたり、便利なことがたくさんあるのですが、それは、子どもたちにとって特に驚くべきことではなく、ごく自然に受け入れてしまっているという点が注目です。もしかすると子どもたちがもっている感覚に、技術がだんだん追いついてきたと言ったほうが、正しく言い表せているのかもしれません。

そもそも、これまでのICTは使い方を習得しないと使えないようなものが大半でした。人間がもつ自然な力に対応していなかったのだと思います。

ゲームだって、誰かが操作やステージクリアの方法を教えなくても、子どもたちは勝手に遊んで学んでいきますから。最近はYouTubeもありますし、スマホや掃除機も説明書はありませんよね。それと同じなんですね。学校でも、説明なんてなくても直感的に触って使いこなせるようなICTが必要です。ミライタッチの誕生でそれが実現できたのではないかと思います。この時代にあったツールを、今後どのようにうまく使いこなせるのかが、これからの教育のキーになりますね。

先生の教え方を変えなくても、子どもたちの学び方が変わる。

ミライタッチがあると、子どもたちへの教え方が変わりますか?

藤川先生:

教え方については、基本的には特に変わったことはないように思っています。例えば、新しい試みとして、授業内でチャットを使っていますが、子どもたちから「先生、チャットを使いませんか?」と誘ってくれたことがきっかけです。チャットを使ってグループごとに行った実験結果を共有し合ったり、クラス全員に対して意見を求めたりするなど、堅苦しくない発言で授業が活発になりましたが、私自身は以前と同じスタンスです。

●授業ではチャットで各自の意見を集めることも。

●チャットでは各自の意見に「いいね!」スタンプなどで、共感の反応をし合っている。

小崎准教授:

先生の教え方は変わっていませんが、子どもたちの学び方が劇的に変わったのがわかりますよね。もちろん先生の教え方もどんどん進化したらよいと思うのですが、まず、教えるためにではなく、学ぶために使えるように意識することがスタートではないでしょうか。

子どもたちは、黒板だとかデジタル機器だとか、そんな違いを感じている次元ではなく、目と目を見て直接でも、デジタル機器を使って間接でも、必要なコミュニケーションに合わせて、学び方を無意識に変化させています。「チャットで授業をしませんか?」というような新しいことに対しては、おもしろそうと思うだけでやってみることができる。デジタル環境が目の前にあったら必要に応じて使ってみようとするのが子どもたちの凄さです。目の前に好きなお菓子があったら食べたくなるように、ごく自然な感覚でチャットを使うようです。

用意された学習環境に合わせて、子どもたちは自分の学び方を勝手に変えていくんですよね。これからコミュニケーションの仕方にも変化が出てくるでしょう。これまで電子黒板と呼ばれていたICTは、黒板の域を超えているので、子どもたちの協働的な学びに欠かせない“コミュニケーションボード”と呼ぶべきだと思います。

ミライタッチを利用するにあたって、先生たち自身も学びや準備が必要で大変じゃないですか?

藤川先生:

先生たちは、子どもたちに教えるために、まずは自分が新しい技術を完璧に把握したいと考えますし、子どもたちよりも先に進もうとするんですよね。でも、もしかすると、そのようなスタンスは今の時代には必要ないのかもしれません。

私は子どもたちに「チャットの追加の仕方って、どうやるんだっけ?」と分からないことを聞いてしまうんですよね。「先生、このボタンだって〜!」と、わかっている子がすかさず教えてくれます。子どもたちは、私よりも詳しいことを学ぶ力があって、先生が慣れる前に使いこなしてしまうんです。そうなっても、子どもたちから「先生はダメな人だなぁ」とは絶対にならないんです。歳上で人生経験も豊富にありますし、先生が勝負すべきは“機械や技術が使えるかどうか”ではなく、もっと他の場面にあるのではないかと思います。子どもたちも、それは十分にわかっています。

学校全体で取り組む、電子黒板を使った“学びの可能性の拡張”。

ミライタッチを試験的に利用されてみて、何か変化をお感じになりましたか?

奈良市立平城西小学校 

柴田 純 校長

当校では、休み時間や放課後などに、子どもたちがミライタッチを自由に使えるようにしています。使っているシーンを頻繁に見かけますが、いつも非常に楽しんで利用しているなぁという印象ですね。黒板も自由に使えるようにしているのですが、ミライタッチは書いてもあっという間に消せることもあって、たくさんの子が利用しています。

絵を描いて遊んでいる子もいれば、授業で学んだことを復習する子もいて、本当に様々。子どもたちがICTを直感で触って身近な道具にしていく姿にいつも驚いています。そうやって自ら主体的に学ぶ意欲が高まっていくことで、大人よりも詳しくなっているのも本当の話。子どもたちの方から「こんな発見したよ!」と先生に伝えているシーンも良いなあと思います。

授業中以外は使えないようにしている学校が多いですが、全く逆ですね。

もしかしたら、人を傷つける言葉を書いてしまうかもしれませんし、画面を強く叩いたりして壊してしまうかもしれませんもんね。使い方に慎重になるのは当然のことです。しかし、当校では「しっかりと指導すれば大丈夫」という方針で、学校として、校長の私が責任をもって、使い方を指導すると明言しています。

子どもって「高い所に登ったらダメ」と言えば登りたがるし、「叩いたらダメ」と言えば、叩くし…で、止めようとするとやりたがるんです。子どもたちにタブレットを配布したときも、保護者から「Youtubeを閲覧できない設定にしてほしい」と要望がありましたが、本校では閲覧制限などの設定は行いませんでした。大事なのは、保護者と子どもがしっかりとルールを決めていくことだと考えているからです。

じっくり話し合い、子どもたちなりに考えて答えを出すことが大事で、それが主体的な学びにもつながっていく。だからミライタッチも利用制限などは一切行わずに、子どもたちが好奇心を持って積極的に触ってもらえるようにしています。主体的に利用し学ぶことで、自身の可能性をどんどんと伸ばしていってほしいと思います。

今後ミライタッチを使うことで、子どもたちにどんなことを期待していますか。

極端な話、ICTがあるとか無いとかは関係ないと思っています。もし、ミライタッチが無ければ、ミライタッチが無い学びになる。あれば当然便利ですし、先生たちがもっと使いこなせるようになれば、もっと子どもたちが学べる環境は拡張していくことでしょう。今後デジタル教科書や学習アプリも多数出てくると思いますし、それらを積極的に利用することで、子どもたちが主体的に学び、自らの意見を発する機会も増えていくのは間違いありません。これからコミュニケーションの仕方や在り方が大きく変わっていき、人生を豊かにしていくことに、大きな可能性を感じています。