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2025.06.25 セミナー

【EDIX東京2025 講演レポート/鹿児島市教育委員会】 GIGAスクール構想第2期で求められる「学びと教室環境」は、ミライタッチの活用で実現できる

さつき株式会社は、2025年4月23日(水)〜25日(金)に開催された「第15回EDIX(教育総合展)東京」に出展いたしました。

EDIX(教育総合展)とは、小学校、中学・高等学校、大学、専門学校、教育委員会、地方自治体、塾・予備校などの教育関係者が多数来場する、日本最大級の教育分野の総合展示会です。

当社では、「ミライタッチ」の機能や現場での活用方法などを担当者が実演デモを交えて詳しくご紹介したほか、自治体・学校の現場の先生方による特別セミナーも開催されました。

今回の記事では、登壇された「鹿児島市教育委員会」の教育DX担当部長 木田 博様と、学校ICT推進センター指導主事 竹下 誠様による講演を振り返ります。テーマは、『GIGAスクール構想第2期で求められる「学び」と「教室環境」』。鹿児島市教育委員会で手がけられていることを事例に、これからの教育現場で必要なことが語られました。

 

【登壇者プロフィール】

鹿児島市教育委員会
教育DX担当部長 木田 博
小学校教員、鹿児島県総合教育センター情報教育研修係長、鹿児島市学校ICT推進センター所長等を経て、2024年4月より現職。教育委員会や各学校におけるあらゆるDX推進を担当。文部科学省 学校DX戦略アドバイザー 企画調整委員(2023年〜)も務める。

鹿児島市教育委員会
学校ICT推進センター 指導主事 竹下 誠
鹿児島県内の中学校教員を経て、2023年より鹿児島市教育委員会に着任。学校ICT推進センターにて、教育現場におけるICT推進業務に携わる。

 

「自ら課題を見つけ、それを解決する力」を育成する教育を

鹿児島市は人口約58万人。学校数は全部で120校。小学校78校(29,553人)、中学校39校(15,502人)、高等学校3校(1,950人)において、1人1台の端末が整備されています。GIGAスクール構想第2期に向けて、これからの教育DXで必要なことが語られました。

木田:

GIGAスクール構想の実現に向けて、教育DXを進める上で3つの段階があります。

従来のアナログ・紙をデジタルに変えただけの第1フェーズ「デジタイゼーション」。一連の授業の流れやプロセスを見直し、新たな学習モデルに改善・最適化する第2フェーズの「デジタライゼーション」。現在、大半の学校はこの段階にあると思います。今後求められるのは、教育DXの最終フェーズである「デジタルトランスフォーメーション」です。

従来とは異なり、子ども達自身が個々の課題、状況、特性に応じて、自ら目標を設定し、学習方法等を自ら選択、自己評価するものであるといった、新たな「学習モデル」を創りあげることが求められています。いわゆる「学習者中心の学び」というものなのです。現在多くの学校では、タブレットや学習ツールは頻繁に使われているのですが、これまでの授業をただデジタルに置き換えているだけなんですよね。

中教審答申の『「令和の日本型学校教育」の構築を目指して』でも書かれていますが、これまでの学校教育は、“皆と同じことができる、言われたことを言われた通りにできる”で、均一な労働者の育成が求められてきたわけですね。しかし、これはAIやロボットが1番得意な仕事でもあります。

事実、「学校が休校になった場合に、自律学習を行う自信があるか」という子どもたちへの調査では、「自信がない」と回答した子どもが多く、日本は世界各国と比べると37か国中34位という結果もあります。これから必要なのは、自ら課題を見つけてそれを解決していく力を子ども達に身につけてもらうことです。

鹿児島市が取り組む、自由進度学習とは

「学習者中心の学び」を実現するために、鹿児島市で取り組まれている「自由進度学習」が動画を交えて紹介されました。

※デジタル庁ニュース「誰もが自分らしく学べる社会へ 教育DX」(外部動画へ遷移します)

木田:

鹿児島市の八幡小学校では、子どもたちがタブレット端末を使ってグループで学んだり、1人で黙々と進めたりする「自由進度学習」と呼ばれる授業が行われています。自分たちで課題を見つけて、自分たちで課題を解決するという力をつけるために、一人ひとりが自分のペースで学習をしているのです。

授業では、まず子ども達が端末を使って自ら学習計画を作成し、今日の授業でどこまで学習を進めるのかを決めます。そして授業の最後では、学んだことを記入する振り返りシートで、子どもたち1人1人の進み具合をリアルタイムで把握することができます。

動画の中で、子どもたちのこんな声もありました。

子ども(Aさん):

今までの授業だと、勉強が分かる早い人は待ちくたびれるみたいな感じで、そういう人は置いていかれる感じだったんですけど、「自由進度学習」になって、早い人は早く、遅い人はゆっくり、なんか自分のペースで進められるようになりました。

子ども(Bさん):

今日はイーボードのチェックテストを終わらせようと思います。どこまで進んでるかが具体的にわかるし、進んでない時はペースを早くしたり、早く進んでる時はその分友達に教えたりして計画的に進めています。

子どもたちが自分自身で、学習のペースを決めているようでした。また、木田氏は自由進度学習についてこう語ります。

木田:

自由進度学習をやったことがない学校も多いのですが、体育の授業では随分前から自由進度学習をしていたと思うんです。「5段の跳び箱を飛びましょう」という場合に、いきなり全員には飛ばさせないですよね。一人ひとりのできるレベルに合わせて、跳び箱の段数を変えて練習をしていくのと同じなんです。

ただ、なぜこれまでに自主進度学習を実現できなかったかというと、先生1人の負担が大きかったのが理由だと考えます。算数の授業であれば、子ども35人に35通りの状況があるわけで、1人1人に対応するのはとても難しいんですよね。

しかし今は、それをフォローする“モノ”が、教室に登場したわけです。それが、1人1台のICT端末です。デジタルドリルなどのツールを使って、子ども達は自分の状況に合わせて問題を解決していくことができるようになった。まさに今からが、本質的な「自由進度学習」が学校に根付くような段階だろうと思います。

自由進度学習では、「子ども達が解決のために、多様な方略(デジタルリソース)を選べる余地があるか?」「子ども達の取組の状況や学習進度を把握できているか?」という点が大事です。

そこで活躍するのが、電子黒板等の大型表示装置なんです。

「次期 ICT 環境整備方針の在り方ワーキンググループ取りまとめ(2024年7月)」にも書かれていましたが、教室のICT機器として「電子黒板等の大型表示装置」が推奨されています。鹿児島市では、ChromeOSが搭載された65インチと75インチの電子黒板「ミライタッチ」を、普通教室と特別教室に整備しました。

 

ミライタッチを導入して、実現できたこと

鹿児島市は2024年に従来の大型表示装置から、電子黒板「ミライタッチ」に変更しました。ミライタッチ導入効果について、学校ICT推進センター指導主事 竹下氏が語りました。

竹下:

電子黒板の導入にあたって、先生たちに向けて校内研修や夏季講座、放課後のオンライン研修(アーカイブでいつでも視聴可能)などを実施し、使い方を学んでもらいました。導入してから多くの先生たちに利用してもらったのですが、こんな感想をいただいています。

●拡大提示・書き込み・映像、音声再生など、

操作性がわかりやすく、デジタル教科書やデジタル教材との相性がいい。

 

●OSが入っているので、大きなタブレット端末そのもの。

データ管理や情報共有をその場で可能に。

 

●自分の操作と子どもの視線が同じになるので、感覚は黒板と同じ。

生徒の反応を直接確認もでき、よりインタラクティブで効果的な授業が実現できる。

特に導入してからの大きなメリットが、「生徒間と教師間のコラボレーションの促進」だと考えます。これまでのデジタルテレビだと、教師の視線は手元の端末に向いており、子どもたちの視線はディスプレイに向いていました。しかし、電子黒板は書き込みができるので、教師と児童生徒の視線は同じ場所になる。デジタル機器に置いて、これまでの黒板と同じ感覚で使えながら、インタラクティブな授業ができるメリットは非常に大きいです。

また、従来は先生が授業中にプリントを配布し、回収して返却して解説をして⋯という流れがあったと思うのですが、電子黒板では、すべての工程が画面上で一気通貫で行えます。時間がかなり削減されたことで、子ども達に向き合える時間が増えたことも大きな魅力です。

OS搭載のミライタッチだから、情報共有の仕方も変化

さらに竹下氏は、「ChromeOS搭載のミライタッチだから、できることがある」と語ります。

竹下:

従来の大型モニターでは、指導者用端末とモニターは同じ画面をミラーリングすることしかできませんでした。しかしミライタッチを導入後は、電子黒板で表示している画面と、指導者用端末側の画面を別のものに変えることが可能です。

電子黒板には、子どもたち向けの説明画面を投影して、指導者用端末では子どもたち一人ひとりの進捗状況を見ることができます。子ども達の状況を随時把握して、「この子は、ここでつまづいているのかな?」と気づけるようになりました。また、子どもたちも自身の端末で、見たい情報を好きなタイミングで閲覧できるようになり、学習の自由度が大きく拡がったのです。

次に、従来の黒板と電子黒板の棲み分けについて、こう語りました。

竹下:

「電子黒板を導入することで、従来の黒板は必要なくなるか?」という問いがありますが、電子黒板か黒板かというような二者択一ではなく、黒板も電子黒板も単なるツールにすぎません。先生たちがそのツールを使って、教育にどう活かすかが大事なのです。電子黒板を利用して、今まで実現できなかったアイデアを実現できるのは間違いありません。

教育の本質は何か、何が1番なのかという点を考えながら、先生方がどんな学びを実現したいかということを、私たち教育委員会がサポートしていければと考えています。

最後に木田氏より、電子黒板を使った教育の可能性について語られました。

木田:

子ども達には、それぞれ認知特性があります。音声認識が得意な子、文字認識が得意な子など、いろんな子がいますから、先生の話だけを聞いても頭に入ってこない子でも、文字認識を得意とする子がいれば、電子黒板を見て理解を深めることができるかもしれない。そんな風に、いろんな子どもの特性に対応できるのが、これからの教育なのです。

OS搭載した電子黒板「ミライタッチ」であれば、これまでは難しかったような「学習者中心の学び」が実現できるはず。今後生まれていく「新しい学びのカタチ」に私たちも期待したいですし、もっと開発していきたいと考えています。

この記事の著者

ミライタッチ編集部

ミライタッチ編集部

ミライタッチは、1931年創業の“社会貢献事業”会社であるさつき株式会社が開発。皆の夢を叶えて、豊かな未来の創造のお手伝いをすることが、私たちの使命です。コラムでは、電子黒板に関する情報や、教育現場で働く方々に向けた情報発信を行なっています。